五代目 志ん生名演大全集名演集
志ん生膨大 口上
志ん生がニッポン放送の専属だったのは昭和二十九年七月一日から三十七年九月三日までの約八年間であった。もっともニッポン放送以前の一年間(二十八年から二十九年)はラジオ東京(TBS)の専属であり、ニッポン放送の時もNHKだけは出演OKの契約になっていたし、以降のフリー時代は各局に出演していたので、電波から流れた“志ん生の声と芸”は、大変な数になる。
ニッポン放送は昭和三十一年頃から本格的な保存の必要を感じ、それ以降のものの大半が“志ん生ライブラリー”として、今も同局に保存されている。その作品群だけでも百本を越す。このほか、志ん生作品は東横落語会、東宝名人会などで収録されたものがあり、また、若い時代のものはSP時代のレコードで何枚か聞くことができる。
昭和三十六年に脳出血で倒れ、三十八年からカンバックしたが、それからは“間”を充分にとったしゃべりで、また別の志ん生を作り出した。
昭和四十五年、ポニーとキャニオンレコード(現・ポニーキャニオン)からニッポン放送の放送原盤を中心とした『古今亭志ん生名演集五十巻』が発売され、多くの志ん生ファン・落語ファンに喝采をいただいてきたが、幾度の企画変更の中で噺の一部が編集されてしまったり、音源の音質劣化などもあり、多くの志ん生ファンから完全リマスタリング版の発売が待望されてきた。
今年志ん生三十三回忌を期に、ニッポン放送に残る放送音源まで遡り、全てリマスタリングし『古今亭志ん生名演大全集』を発売することになった。
十八番の『火焔太鼓』のようにオチが違う演目や同一演目別テイク音源、ほかにNHK、東宝名人会、文化放送などに残る音源も新たに追加して、既存の『古今亭志ん生名演集』を越える文字通り“大全集”を目指している。全四十八巻百二十六席プラスα(現在、調査中音源)“志ん生膨大”な芸の魅力をご堪能ください。
◎リマスタリング音源
人気の高い志ん生の音源は、幾度の企画変更の中で噺の一部が編集されてしまったり、音質が劣化してしまっている場合があります。今回の”名演大全集”では、可能なかぎりニッポン放送に残る放送音源(オリジナルの保存テープ)にまで遡り、再度マスタリングの作業を行いました。それらの音源については”リマスタリング音源”として明記しています。
◎本シリーズ初収録音源
1994年にポニーキャニオンから発売された『古今亭志ん生名演集・全41巻』には、収録されていなかった演目を今回の”名演大全集”では新たに収録いたしました。また、同一演目であっても、より状態のよい音源に差し替えを行った演目についても”本シリーズ初収録音源”として明記しています。
◎同一演目別テイク音源
『火焔太鼓』(1巻・2巻収録)、『井戸の茶碗』(5巻・34巻収録)、『稽古屋』(9巻・37巻収録)、『妾馬』(13巻・34巻収録)、『付き馬』(23巻・30巻《早桶屋》収録)、『唐茄子屋政談』(26巻・34巻収録)、『子別れ』(27巻《通し》・34巻《中・下》収録)の演目については、同一演目でも二席、別テイクの音源をそれぞれ収録しています。面白さについては変わりませんが、時の巡り合わせの妙をお楽しみいただければと思います。
ご購入に関するお問い合わせ:(株)ポニーキャニオン
音楽マーケティング部 03-5521-8031
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●(リマスタリング音源) ☆(本シリーズ初収録音源)
タイトル | 演目 | あらすじ |
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1巻 PCCG-00693 |
●火焔太鼓 ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年九月三日放送 |
道具屋の甚兵衛さんの家は大変な女性上位。甚兵衛さんが汚い太鼓を一分で仕入れて来たので、かみさんからサンザ小言を喰らう。 |
●黄金餅 ニッポン放送『演芸くらぶ』 昭和三十四年三月二日放送 |
西念という乞食坊主、ケチに暮らして金をためるが、寝込んでも医者にかからず、病気は重くなる。今際の際に隣家の金兵衛に、あんころ餅をたべたいとたのむのだが・・・・・・。 | |
☆後生うなぎ ニッポン放送『演芸お好み劇場』 昭和三十六年十一月一日放送 |
うなぎ屋の主人がうなぎをキリで刺そうとしているところへ、浅草観音詣でのご隠居が通りかかり、「生あるものを殺すとは、無慈悲なことだ」と代金を払って買い取り、川ヘ逃がしてやる。 | |
☆どどいつ/小唄 ニッポン放送 昭和三十五年五月録音 |
落語家になる以前、よく稽古に通ってマスターしたという志ん生の"歌"。「どどいつ」も「小唄」も、いかにも志ん生らしい。 | |
2巻 PCCG-00694 |
☆ 火焔太鼓(どんどんもうかる) ニッポン放送『初笑い志ん生独演会』 昭和三十三年一月一日放送 |
一般的なサゲの「おジャンになるから」と違って、「どんどんもうかる」のオチにしたのは正月の番組だったから? 貴重な『火焔太鼓』別テイク版。 |
●搗屋幸兵衛 ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年二月二十七日放送 |
この落語の主人公は家主の幸兵衛。空き店を借りに来た搗米屋に、幸兵衛は自分のペースに話をまき込んでおきながら、結局貸さない。 | |
たぬさい ニッポン放送『演芸お好み劇場』 昭和三十六年十二月十三日放送 |
一人の男がたぬきとトモダチになる。たぬきにサイコロに化けてもらって、バクチをやりに行く。男は壺をあける前に、目を口ずさむ。負けるはずがない。 |
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一眼国 ニッポン放送『お好み演芸会』 昭和三十一年七月一日放送 |
諸国をめぐる巡礼が、香具師(てきや)の親分のところへ泊まり、親分から何か珍しいものを見なかったかときかれる。江戸から東へ三日ばかり行く森の中で、一つ目の女の子を見かけたことがあると話す。 | |
3巻 PCCG-00695 |
●らくだ ニッポン放送『お楽しみ演芸会』 昭和三十三年二月二日放送 |
裏長屋に住む乱暴者で嫌われ者の"らくだ"がふぐに当たって死んでいるのを、その兄弟分という男が見つける。葬式ぐらいは出してやりたいがあいにくの無一文。そこに屑屋が通りかかる・・・・・・。 |
強情灸 ニッポン放送『演芸くらぶ』 昭和三十三年六月十二日放送 |
二人とも強情な男である。灸の話から「一つでも熱いのを三十二もさした」と言えば、もう一人は、「腕の上へ山盛りにし、火をつけてうちわであおぐ」と自慢する。 | |
親子酒 ニッポン放送『演芸廻り舞台』 昭和三十六年一月十九日放送 |
酒好きの親子がたがいに禁酒の約束をする。ところが息子の留守に親父のほうはかみさんを拝み倒して飲み、つい度が過ぎる。そこへベロベロになった息子が帰ってくる。 | |
宿屋の富 ニッポン放送『ゴールデン演芸ホール』 昭和三十四年十二月三十日放送 |
田舎から金算段に来た男は、文なしのくせに出放題の大ボラを吹く。そのためにほしくもない富の札を買う羽目に・・・・・・。 | |
4巻 PCCG-00696 |
☆抜け雀 ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年一月十六日放送 |
小田原の小さな宿屋へ泊まった客が、朝から晩まで飲み続け一文も払わない。主人が催促すると、宿賃のかわりに衝立に雀を五羽描いて、「絶対に売るな」と言って出発する。 |
百年目 ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年三月二十六日放送 |
呉服屋の一番番頭の伊兵衛は、店ではマジメ一筋で、主人の信頼も厚い。ところが大の遊び好き。屋根船で向島まで花見にくり出す。船の中ですっかりできあがり、目かくしの鬼ごっこを始める。鬼の番頭が目かくしを取ってみると、何と店の主人が目の前に。 | |
元犬 ニッポン放送『東西演芸会』 昭和四十年十月十三日放送 |
浅草蔵前八幡の境内にまぎれ込んだ白い犬が人間になりたいと八幡さまに願をかけ、ついに人間になる。裸で困っているところに人入れ稼業の主人が通りかかり・・・・・・。 | |
5巻 PCCG-00697 |
● 大工調べ ニッポン放送『新春寄席中継』 昭和三十六年一月三日放送 |
大工の与太郎は、店賃を四ヵ月ためて、家主に商売道具の道具箱をおさえられてしまった。心配した棟梁の政五郎は、有り合わせの一両を与太郎に渡し、これでとりあえず道具箱をかえしてもらうように言う。 |
鮑のし ニッポン放送『お楽しみ演芸会』 昭和三十四年一月一日放送 |
亭主は少々頭の回転がおそい。反対にかみさんはしっかりもの。貧乏で米も買えないので、ちょうど地主の息子の婚礼を幸いに一計を案じる。 | |
☆井戸の茶碗 ニッポン放送『新春志ん生独演会』 昭和三十五年一月一日放送 |
正直者の屑屋の清兵衛、裏長屋に住む年配の浪人千代田卜斎から、先祖伝来という仏像を二百文で買う。それを白金の細川家の高木作左衛門という若侍に、三百文で売る。この仏像を作左衛門が湯で磨いていると・・・・・・。 | |
6巻 PCCG-00698 |
●三軒長屋(上)(下) ニッポン放送『お好み演芸会』 昭和三十三年三月六日、九日放送 |
三軒長屋の両端は、鳶の頭の政五郎と剣術の先生・楠運平橘正友の道場。 真ん中の家は、質屋の隠居・伊勢勘のお妾と女中がひっそり暮らしている。 ある日、両隣があまりうるさいのとガラのわるさに、お妾は悲鳴をあげ、旦那に引越しを頼む。伊勢勘は「なぁに、この三軒はわたしンとこで金を貸して、もう少しで抵当流れになる。そうなれば両隣を追い出して三軒を一軒にして住まわせよう」となだめる。これを女中が井戸端会議でチョロッとしゃべったから、さあ大変。 |
☆もう半分 ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年八月二十七日放送 |
千住大橋のそばの居酒屋へ、爺さんがやって来て、マスに半分ずつ「もう半分」「もう半分」と飲み始め、いい機嫌で帰っていった。爺さんの忘れものの汚い風呂敷に気づいて開いてみると、何と五十両の大金が入っているではないか。 夏向きのこわい話。 |
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7巻 PCCG-00699 |
●はてなの茶碗~茶金~ ニッポン放送 番組名不詳 昭和三十五年頃録音 |
京都の茶道具屋、茶屋金兵衛は、"茶金"と呼ばれる大変な目ききで、この人が手にとって首をかしげただけで、茶器の値が百両上がるといわれるほどである。 京都・清水の観音詣りの帰り、境内の茶店に寄って茶を飲みながら手に持った茶碗に六ぺん首をかしげて帰って行く。 |
●祇園祭り ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年六月十一日放送 |
江戸ッ子が京見物に出かける。京言葉にすっかりまごつくが、さっそく京都の人間をつかまえて江戸自慢が始まる。負けじと京都自慢の応酬。 | |
探偵うどん ニッポン放送『ゴールデン演芸ホール』 昭和三十四年十月二十八日放送 |
若い男が「スリに三百円とられた」とかけ込んでくる。すぐに深川、本所一帯に非常線が張られる。スリと探偵がうどん屋を舞台に・・・・・・。 |
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8巻 PCCG-00670 |
天狗裁き ニッポン放送 番組名不詳 昭和三十六年頃録音 |
熊さんの女房おみつが、同じ長屋に住む又さんがムカデをまたいだ夢を見て、それから客足がついたという話を聞いてくる。 そこで亭主を強引に寝かし、夢を見させようとするが、夢を見た見ないでケンカとなり、家主が仲に入ってもダメで奉行所へ訴え出る。 |
☆蒟蒻問答 ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年四月二十三日放送 |
道楽者の八ッつァんは蒟蒻(こんにゃく)屋の六兵衛のやっかいになっていたが、遊んでいても仕方がないというので、近所の破れ寺の和尚となる。そこへ、越前永平寺の雲水が禅問答にやってきた。それを聞いた六兵衛は大僧正になりすまし、問答をかって出る。 | |
●たいこ腹 昭和三十七年四月十一日放送 (病前録音) |
若旦那が鍼に興味をもって、道具一式を買い込み、壁やまくらや猫に打ってみるが面白くない。誰か人間に試したいと、幇間(たいこもち)の一八を呼ぶ。ご祝儀につられて一八はしぶしぶ裸になる。 |
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9巻 PCCG-00671 |
●稽古屋 ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年五月二十八日放送 |
女にモテたい一心で、世話好きの人のところへ行き「なにか女の子のよろこびそうなことはないか」ときく。「横町の五目(芸事何でも)の女師匠がいるから、そこへ行って習うといい」と教えられ、男は早速出かける。 |
たがや ニッポン放送『演芸お好み劇場 志ん生十三夜(十二)』 昭和三十七年五月十六日放送(病前録音) |
川開きの当日、花火で両国橋は大変な混雑。そこへ通りかかったのが仕事帰りのたが屋(桶の修繕屋)で、押されたはずみに向こうから来た馬上の武士の笠をはねとばしたからさあ一大事。 |
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☆今戸の狐 ニッポン放送『落語独演会』 昭和三十五年十月八日放送 |
菅良斎の門人の良助は、六十近い年なのにあまり売れない。三笑亭可楽にすすめられて今戸焼きの彩色の内職に精を出している。 | |
10巻 PCCG-00672 |
☆牡丹燈籠~お露新三郎~ ニッポン放送『演芸くらぶ』 昭和三十二年七月十日放送 |
根津に住む浪人の萩原新三郎は、梅見に行き、その帰り道に柳島の寮で、お露と知り合う。はじめは、互いに目を合わすこともできないでいるが、次第に想いは募るばかり。何とかお露に会いたいと柳島を訪れる新三郎は、ある日、お露が亡くなったことを知る。 |
●牡丹燈籠~お札はがし~ ニッポン放送『演芸くらぶ』 昭和三十五年七月二十七日放送 |
かつて想いを馳せたお露が亡くなったことを萩原新三郎が知り、肩を落としていると、お盆の晩、八つの鐘を合図に、カランコロンと下駄の鳴る音が聞こえてきた。やって来たのはお露だった・・・・・・。夏場にはつきものの一席。 | |
☆小噺 昭和三十四年五月二十九日放送 |
志ん生による掌編小噺。客のいないところで、気負いなくさらっとしゃべっている。大変貴重で珍しいモノ。 | |
11巻 PCCG-00673 |
☆お化け長屋 ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年七月三十日放送 |
長屋の衆たちが空き店を貸さないようにしようと、お化けを演出する。借りに来る男は、みな話をきいただけで逃げ帰るが、一人気の強い職人が来て、強引に入り込む。長屋の連中は手わけしてお化けを出すが・・・・・・。 |
厩火事 ニッポン放送 番組名不詳 昭和三十年七月二十六日放送 |
孔子はかわいがっていた白馬の厩(うまや)から火が出たが、まず家来の安否をたずねた。 反対に麹町の殿様は、奥方が大切な皿を持ったまま階段から落ちたとき、皿のほうばかり気にしていた。亭主のホンネのさぐり方。 |
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穴どろ ニッポン放送『東西お笑い大行進』 昭和三十六年十二月三十一日放送 |
大晦日になって三両の金の工面のつかない男、かみさんからさんざ嫌味をいわれて、しぶしぶ表へ出る。ちょうど大きな商家のうら木戸があいているのを見つけ、思わずしのび込む。坐り込んで酒を飲んでいるうちに、すっかりいい心持ちになって・・・・・・。 | |
12巻 PCCG-00674 |
☆幾代餅 ラジオ京都ほか 昭和三十四年十二月十一日放送 |
搗米屋の奉公人の清蔵が、吉原の姿海老屋でいま全盛を謳われる花魁幾代大夫の絵姿を見て以来病気になる。これを知った主人が、一年働いてためた金で遊びにゆけとすすめる。 |
●首ったけ ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年一月三十日放送 |
辰という職人が、紅梅という花魁にあつくなるが、ある晩、大一座の宴会があって、紅梅はそっちへ行ったきりで、辰はふられる。 | |
●羽衣の松 ニッポン放送『新春寄席中継』 昭和三十八年一月二日放送 |
三保の松原を通りかかった漁師の伯良は、松に羽衣をかけて水浴をしている天女を見つける。浜風にあらわになった白い肌を見て妙な気分になり、かみさんになってくれと口説く。 | |
13巻 PCCG-00675 |
●妾馬 ニッポン放送『お楽しみ演芸会』 昭和三十三年四月十六日放送 |
裏長屋に住むおつるという娘は、通りかかった大名の目にとまり"おつるの方"に出世をする。おつるが兄に会いたいというので、八五郎は邸に招かれるが、ガサツ者で言葉づかいも満足に知らない。 |
☆岸柳島 ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年一月二十三日放送 |
駒形の渡しへとびのって来た若い侍が、傍若無人のふるまいで同乗の町人たちを困らす。若侍が船べりでポンと火玉をはたいたところ、煙管の雁首が抜けて水中に落ちた。船をとめて探せと無理をいう。 | |
●芝浜 ニッポン放送『お楽しみ演芸会』 昭和三十三年十二月二十五日放送 |
棒手振りの魚屋の熊さんが、五十両入りの皮財布を拾う。生来なまけ者の熊さん、これ幸いと、飲んでさわいで寝てしまう。翌朝女房にたたき起こされて、商いにゆけといわれ、財布のことをきくと夢だという。 | |
14巻 PCCG-00676 |
庚申待~宿屋の仇討~ ニッポン放送『お笑い日曜演芸会』 昭和三十二年三月三日放送 |
馬喰町の大黒屋という宿屋で、庚申待だというので、泊まりあわせた客たちがめいめい与太話をはじめる。 四人目の熊五郎は、熊谷で老人を殺し二百両盗ったと話す。隣座敷から侍があらわれ、「その男こそ、わが父の仇」と名のる。 |
●大山詣り ニッポン放送『芸能山口ガーデン』 昭和三十五年九月四日放送 |
大山は江戸ッ子の信仰の山。今年も長屋の講中連が、大山詣りにくり出すことになるが、喧嘩口論のないようにと条件を付ける。喧嘩したものは罰金、飲んであばれたものは坊主にするというものだ。 さて、無事に参詣もすんで、明日は江戸に入るという宿で気がゆるむ。 |
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金明竹 ニッポン放送『お好み演芸会』 昭和三十一年九月二日放送 |
与太郎が表に水をまいている。水のまき方がわるいと叱られ、こんどは二階の掃除を命じられる。二階の座敷へ水をまくのでまた叱られる。 おなじみ与太郎もの。 |
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15巻 PCCG-00677 |
●中村仲蔵 ニッポン放送『演芸くらぶ』 昭和三十五年一月二十六日放送 |
江戸も天明のころ、名優とうたわれた中村仲蔵の売り出し時代の逸話。 『忠臣蔵』五段目の定九郎の役をふられた仲蔵は、それまでの役がらを自分の工夫でがらりと変える。あまりのすばらしさに客は声も出ない。 |
柳田角之進 ニッポン放送『志ん生独演会』 昭和三十四年十二月二十三日放送 |
柳田角之進は故あって浪人をし、浅草あたりの裏長屋に住んで、好きな囲碁で過ごしている。 ある日、質屋萬屋で主人と一局打って帰ると、萬屋で五十両の金がなくなったという。角之進は「身に覚えはないが、金は工面する」という。 |
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風呂敷 ニッポン放送 昭和三十四年頃録音 |
鳶の頭のところへ、長屋のかみさんがかけ込んで来た。かみさんがいうのには、亭主の留守に訪ねて来た男と世間話をしているところへ、ヘベレケに酔った亭主が帰って来た。亭主は大のやきもちやきときているから、とにかく男を押入れに隠してきたという。 | |
16巻 PCCG-00678 |
●まんじゅうこわい ニッポン放送『お楽しみ演芸会』 昭和三十三年十月二十三日放送 |
若い者が大勢集まって、「何がこわい」という話になり、ヘビ、ナメクジ、カエル、アリ、オケラ、クモ、ナンキンムシ・・・・・・と次々に出る。最後に一人「おれはまんじゅうがこわい」と言い、となりの部屋で寝込む。 |
●三年目 ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年八月十三日放送 |
たがいに惚れ合って夫婦になったが、女房が死ぬ。亡くなる前に、女房は夫の再婚のことを気にするのだが・・・・・・。 | |
●三味線栗毛 ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年二月六日放送 |
酒井雅楽頭という大名の総領が与五郎、次が女の子で、三番目が角三郎、この角三郎がどうも父と合わず、下屋敷に遠ざけられる。そこへアンマの錦木というのが来る。はなし上手で揉み上手。すっかり気に入った角三郎は、万一自分が大名になった場合は、錦木を検校にしてやると約束する。 | |
17巻 PCCG-00679 |
●千両みかん ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年八月六日放送 |
江戸も日本橋あたりの、大きな呉服問屋の若旦那が、ドッと寝つく。心配して番頭の佐兵衛がきいてみると、ミカンがたべたいという。お安いご用と軽く引きうけたが、よく考えてみると真夏にミカンなどあるわけがない。 |
☆佃祭り ニッポン放送『演芸くらぶ』 昭和三十五年六月二十二日放送 |
神田に住む小間物屋の次郎兵衛は、佃祭の帰り船にのろうとして、一人の女に無理やり引きとめられる。三年前身投げしようとした女を救ったことがあり、そのときの彼女だったのである。 | |
●素人相撲 ニッポン放送『演芸くらぶ』 昭和三十三年七月十七日放送 |
町内の素人相撲に参加した一人大きな男がべらぼうに強い。そこへごく小さい男が挑戦する。その小さい男が千変万化の早わざで大男を翻弄、あげくの果てドーンと押し出す。 | |
18巻 PCCG-00680 |
あくび指南 ニッポン放送『演芸くらぶ』 昭和三十三年七月十七日放送 |
町内に「あくび指南」という珍しい看板が出たので、あまり器用でない男が、友達を連れて習いに行く。 |
●うなぎの幇間 ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年七月二十三日放送 |
一八という野だいこが、名前も住まいも知らない男にうまく取り入って、うなぎをごちそうになろうとたくらむ。うなぎ屋の二階で、さんざんお世辞を言っているうちに、男はちょいと便所に行くと言って座敷を出たきり戻ってこない。 | |
●お初徳兵衛 ニッポン放送『演芸くらぶ』 昭和三十二年六月十二日放送 |
大店の若旦那の徳兵衛は、道楽が過ぎて勘当になる。この徳兵衛を助けたのが船宿の親方で、むかし世話になった恩返しの意味で、二階に居候させる。居候もあまり長くなると居づらいもので、徳兵衛は親方に船頭にしてほしいと頼む。 | |
19巻 PCCG-00681 |
お直し ニッポン放送『お笑い演芸会』 昭和三十一年十二月二十八日放送 |
"花魁"が見世の若い衆とデキる。同じ廓の中での色恋はご法度とされているから、本来はクビになるべきところを、主人のはからいで世帯を持つが、男は身持ちがわるく、その主人をしくじって、蹴転(けころ)という最下級の女郎屋をはじめる。 |
●安兵衛孤 ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年九月十日放送 |
源兵衛、安兵衛という二人のかわり者が、長屋のとなり同士に住んでいる。 源兵衛が谷中の天王寺(のち感応寺)の墓地へ墓見にゆくと、とある墓の穴から骨が出ている。気の毒だというので、ふくべの酒をかけ回向して戻ると、その夜、その骨の女が訪ねて来て礼を言う。そのうち女房よろしく、世話をやいてくれるようになる。 |
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20巻 PCCG-00682 |
●淀五郎 ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年四月二日放送 |
江戸三座の一つ、森田座で『忠臣蔵』の幕があく直前、判官役が急病で倒れ、沢村淀五郎という相中の役者が代役にえらばれた。ところが四段目の判官腹切りの場で、市川団蔵の由良之助が花道へ出てみると、判官にまるで気合いが入っていない。 |
●因果塚の由来~お若伊之助~ ニッポン放送『演芸くらぶ』 昭和三十二年六月二十六日放送 |
江戸は日本橋石町の生薬屋、栄屋のひとり娘お若は、年が十八で絶世の美人。一中節が習いたいというので、近くの鳶の頭の初五郎の世話で、伊之助という師匠を紹介される。 | |
21巻 PCCG-00683 |
● 品川心中 ニッポン放送『演芸ホール』 昭和三十五年六月十五日放送 |
お染は品川新宿の白木屋の女郎。むかしは板頭(吉原でいうお職)を張ったほどなのに、寄る年なみで今は移り替えも出来ない。そこで貸本屋の金蔵という少し足りない男に心中を持ちかける。 |
●文違い ニッポン放送『お好み演芸会』 昭和三十四年九月十六日放送 |
新宿の女郎のおすみは、惚れた男の由次郎の眼病を治すために、二十円の金が必要となり、まず色男きどりで通ってくる半七をだまして、五円をせしめる。田舎者の角蔵からも、おふくろが病気だと言って十五円だまし取って、二階で待っている由次郎に渡す。 | |
●居残り佐平次 ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年三月五日放送 |
佐平次という男が、友だち四人と品川へくり込み、さんざん飲んで騒いでの大散財。翌朝友だちを帰して、自分一人がのこる。若い衆が勘定を請求しに来ると、昨日の四人がきっと裏をかえしに来るとごまかす。 | |
22巻 PCCG-00684 |
●三枚起請 ニッポン放送『演芸くらぶ』 昭和三十六年三月一日放送 |
大工の棟梁と、猪之と清公の三人が話をしているうちに、三人とも同じ吉原の朝日楼の喜瀬川という花魁から、「一つ起請文のこと、私こと来年三月年期が明け候えば、あなた様と夫婦になること実証也」という同じ起請をもらっていることがわかり、さあ大変。 |
●二階ぞめき ニッポン放送『演芸お好み劇場』 昭和三十八年三月十三日放送 |
ある大家の若旦那、吉原をひとまわりひやかして来ないと、どうも寝つきがわるい。大旦那と番頭が心配して、店の二階に吉原の遊廓とそっくりのセットをつくってくれた。よろこんだ若旦那は、夜になるのを待ちかねて、早々頬っかむりをして、鼻唄まじりで素見して歩く。 |
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●駒長 ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年六月十七日放送 |
この一席は"つつもたせ"をあつかった落語として大変珍しい。不道徳な内容がけしからんというので、戦時中の「禁演落語」五十三種の中にえらばれた。 | |
23巻 PCCG-00685 |
●付き馬 ニッポン放送『演芸くらぶ』 昭和三十六年十一月八日放送 |
ひやかしの客の一人を、若い衆(妓夫太郎)が呼びとめる。客は「いまは金がないが、明朝は払うあてがある」と言うので登楼らせて遊ばせる。翌朝、「集金したついでに払うから、一緒に来てくれ」と言うので、若い衆はウマ(付き馬)になって付いて行く。 |
●干物箱 ニッポン放送『演芸廻り舞台』 昭和三十四年一月二十七日放送 |
道楽が過ぎるので、父親から監視されている若旦那が、湯へ行くと言ってようやく抜け出し、貸本屋の善公のところへ行く。声色のうまい善公に、自分の声をまねてもらって、その間遊びにくり込もうという趣向を立てる。 | |
●つるつる ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年三月十九日放送 |
幇間の一八は芸者屋をやっている師匠の家に住む。内芸者の小梅にちょっと惚れている。 今夜二時を合図に小梅の部屋へしのび込むという約束をするが、一八は有名な飲兵衛。これを小梅にくれぐれもたしなめられる。 |
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24巻 PCCG-00686 |
☆お血脈 文化放送『爆笑演芸大会』 昭和四十年十二月五日放送 |
地獄に落ち、今も釜の中で過ごしているという石川五右衛門が此岸に再来し、閻魔大王直々の命のもと、長野の善光寺に由来する「血脈の御印」を盗む。 |
吉原綺談(上)(中) ニッポン放送『お楽しみ演芸会』 昭和三十三年四月二十三日、三十日放送 |
ある日、やくざの権次が目にしたのは、下谷摩利支天横町の裏長屋に住んでいる、齢十七・八になろうという"小町" 。こうした女性を何とかしたいと、近くに住む兄貴分・長次に相談しに行くと、それはお仲といい、常陸屋喜右衛門のひとり娘。金に不自由しているので、雀屋という桂庵(奉公や縁談の仲介を営む店。口入屋)に頼み、旦那取りをしたいと考えていると言う・・・・・・。 | |
25巻 PCCG-00687 |
吉原綺談(下) ニッポン放送『お楽しみ演芸会』 昭和三十三年五月七日放送 |
新之助は、年期があけたら一緒になりたいというおなかの希望をうけ入れて、起請を書く。それから新之助は毎夜のように立花楼へ通う。 そのうちに叔父の世話で新之助に縁談が生まれる。組頭の娘のおうめというのと、話をまとめてきたというのである。 |
☆五人廻し ラジオ京都ほか 昭和三十三年十二月五日放送 |
"五人廻し"というのは、一人の遊女が同時に複数の客をとることで、吉原に代表される江戸の廓独自の制度だった。 この一席は、喜瀬川花魁(彼女は『お見立て』など、廓ばなしによく登場する)が五人の客をとる。 |
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大津絵~冬の夜~ ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年頃の録音 |
慶応義塾大学の塾長で、戦後、今上天皇の教育に当たられたことで知られ、また志ん生ファンでもあった小泉信三氏がきくたびに目頭を押さえたという感動の大津絵。 | |
26巻 PCCG-00688 |
☆唐茄子屋政談(上)(下) ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年七月二日、九日放送 |
大きな商家の若旦那の徳三郎が、あまりに遊びが過ぎて勘当になる。女には捨てられ、親の意見のありがたさがわかったときにはもう遅い。吾妻橋から身を投げようとして、偶然通りかかった本所の伯父さんに助けられる。 伯父さんは、徳三郎の根性を叩き直そうと、わざと邪険にあつかい、翌朝唐茄子(かぼちゃ)を売りにやらす。 |
●へっつい幽霊 ニッポン放送『演芸お好み劇場』 昭和三十八年七月十日放送 |
幽霊が出るというので売れないへっついを、長屋に住む熊公がもらってくる。運んでくる途中で落としてかどを欠き、そこから大金が出てくる。 | |
27巻 PCCG-00689 |
子別れ(通し) ニッポン放送『演芸くらぶ特集』 昭和三十六年二月十五日放送 |
前半は『こわめしの女買い』、後半は『子は鎹(かすがい)』として独立して演じられることもある。これはその全篇。はなしは三つにわかれ、「上」は陽気な吉原風景、「中」は夫婦の別離のあげくの世話場、「下」はがらりとかわって人情ばなしへと世界がかわる。それぞれがききどころとなっており、内容は濃い。絶対のききもの。 |
●名工矩随 ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年四月十六日放送 |
名人とうたわれた父を失った若い彫金師の矩隨は、腕が未熟のため父の得意先から見放されるが、わずかに芝の若狭屋だけが買ってくれていた。ところがある日若狭屋は酒の勢いもあり、二朱(一両の八分の一)の金を渡し、「おまえなど死んじまえ」と毒づく。 | |
28巻 PCCG-00690 |
富久 ニッポン放送 番組名不詳 昭和三十五年頃の録音 |
久蔵はなけなしの銭をはたいて、友だちから千両富の札を一枚、金一分(一両の四分の一)で買う。 夜中にジャーンと鳴って、芝の久保町(現在の西新橋一丁目)あたりが火事。久保町には上客の旦那がいるので、火事見舞で一挙に詫びをかなえてもらおうと、久蔵は一目散にかけつける。 |
●おせつ徳三郎 ~刀屋~ ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年三月十二日放送 |
徳三郎は奉公先の主人の娘おせつとの深い仲が主人にバレてヒマを出される。さらに、おせつに婿が来るという。失望と怨みで、婚礼の席へ斬り込もうと、刀屋へ刀を買いにゆく。気配を察して刀屋の主人がいろいろききだして、意見する。 | |
29巻 PCCG-00691 |
●しじみ売り ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年二月十三日放送 |
江戸も文化文政のころ、"義賊"の名の高い鼠小僧は、ふだんは茅場町で和泉屋次郎吉という魚屋稼業。バクチで負けて表へ出るとひどい雪。顔見知りの汐留の船宿で休む。 すると、その雪の中を歳のころまだ十にようやっとという小僧が、ザルにしじみを入れて売りに来る。 |
●道潅 ニッポン放送『演芸廻り舞台』 昭和三十五年十二月十七日放送 |
江戸城を築いた武将として知られ、また歌人としても知られる太田道灌(一四三二~八六)の故事をあしらったおなじみの一席。 八五郎がご隠居のところへ遊びにゆき、太田道灌の話になる。 |
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●小間物屋小四郎~大岡政談より~ ニッポン放送『演芸くらぶ』 昭和三十五年三月二十三日放送 |
京橋五郎兵衛町の吉兵衛店で、背負い小間物屋を営む小四郎は年が二十歳、女房のおなみは十八。夫婦仲良く働いて百五十両の金をため、表通りへ店を張るほどになり、小四郎は長崎まで仕入れに行くことになる。 | |
30巻 PCCG-00692 |
☆早桶屋(付き馬/吉原風景) ニッポン放送『お笑い劇場』 昭和三十三年四月十六日放送 |
別名を『付き馬』。廓ばなし。戦時中は"禁演落語"だった。志ん生のオハコの一つだけに、快調にしゃべっている。この音源は従前の名演集では『吉原風景』として紹介されていたが、後半部分を追加して『早桶屋』として収録した。 |
●おかめ団子 ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年二月二十日放送 |
明治初年のころまで、麻布飯倉片町にあり、土地の名物となっていたおかめ団子。看板娘のおかめが大変な美人で店はよく繁昌している。 ここへ毎日のように大根売りの若者が買いに来る。家で寝ている老いた母親が大の好物だからという。ある風の強い日、早じまいした店へ寄ると、その日の売り上げの勘定を見てしまう。 |
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31巻 PCCG-00693 |
●文七元結 ニッポン放送『お楽しみ演芸会』 昭和三十五年十二月二十八日放送 |
"だるま横丁"に住む左官の長兵衛は、腕はいいのにバクチに凝って、家計は年中火の車。いよいよ暮れも迫ってどうしようもない家計を見かねて、十八歳になる孝行娘のお久が、自分で吉原に身を売り、助けようとする。 |
火事息子 NHK 昭和三十三年一月十一日放送 |
信用を大事にする質屋の一人息子が、勘当されてもう三年になる。そんな折、近火があり、その質屋は大あわて。そこへ、頬っかむりの若い衆が、屋根づたいに矢のように現れて、目塗りを手伝う。そして、それが息子とわかる。 | |
芝江戸小ばなし ニッポン放送『お好み演芸会』 昭和三十一年四月二十九日放送 |
ほとんど無数といってよいほど"マクラ"の小ばなしを持っていた志ん生の、もっとも志ん生らしい小ばなし二席。 『コタツ』は夏の演題によく使われ、『蛙の遊び』は"廓ばなし"の導入部によく使われた。 |
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32巻 PCCG-00694 |
鰍沢 ニッポン放送『志ん生を聴く』 昭和三十年十月六日放送 |
身延山参詣の江戸の商人新助が、雪の道にゆき暮れて、とある民家に一夜の宿をもとめる。美しい年増がいて、のどのところに突き傷がある。見覚えのある傷なのできいてみると、むかし吉原にいた月の戸花魁のなれの果てのお熊という女とわかる。 |
粟田口 NHK『放送演芸会』 昭和四十一年一月十四日放送 |
深川万年町の刀屋、岡本政七の番頭重三郎は酒好きなので、主人からきつく注意されていた。その重三郎が主人の代理として、芝の金森家へ年始のあいさつにゆき、すすめられるままに泥酔する。帰りに金森家伝来の粟田口国綱の名剣をあずかったので、酔ってはいるが自分で背負い、小僧を連れて永代橋にさしかかる。 | |
33巻 PCCG-00695 |
●千早振る ニッポン放送『お楽しみ演芸会』 昭和三十六年二月八日放送 |
モノを知らない男が、知ったかぶりの先生のところへ、百人一首の中の「千早振る神代もきかず龍田川、からくれないに水くぐるとは」の歌の意味をききにゆく。かの先生の迷訳ぶりはいかに・・・・・・。 |
怪談阿三の森(その一・その二) ニッポン放送『お楽しみ演芸会志ん生八夜(一・二)』 昭和三十三年八月五日、十二日放送 |
江戸も享保のころ、深川蛤(はまぐり)町の漁師善兵衛の娘おこのが、本所に住む松岡半之進という旗本の邸へ奉公にゆき、お手がついて身ごもったので、実家へもどり女の子を産み、おさんと名付ける。 | |
34巻 PCCG-00696 |
☆唐茄子屋政談 ニッポン放送『志ん生独演会』 昭和三十六年六月三十日放送 |
大きな商家の若旦那の徳三郎が、吉原遊びが過ぎて勘当になる。女には捨てられ、親の意見のありがたさがわかったときにはもう遅い。吾妻橋から身を投げようとして、偶然通りかかった本所表町"ダルマ横丁"の伯父さんに助けられる。 |
☆妾馬 ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年四月九日放送 |
"士農工商"という身分差のきびしかった封建時代、職人が当時のエリートの大名と直に、それも友だちのような口をきき、酒を飲む。しかもうらにはシンデレラのような出世ものがたりがあるという痛快さが魅力の一席。 | |
☆井戸の茶碗 ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年八月二十日放送 |
麻布の谷町に住む屑屋の清兵衛は、"正直清兵衛"といわれるくらいの堅い一方の人。ある日、裏長屋に住む年配の浪人千代田卜斎から、先祖伝来という仏像を二百文で買う。それを白金の細川家の高木作左衛門という若侍に、三百文で売る。 | |
35巻 PCCG-00697 |
☆雪とん ラジオ京都ほか 昭和三十五年一月一日放送 |
田舎のさるお大尽の若旦那が、"本町二丁目の糸屋の娘"と歌にまで唄われた、男嫌いの娘に恋煩いをする。ところが、糸屋の娘は「お祭り」と仇名される佐七という男にホロリと来てしまう。 |
寝床 NHK 昭和四十年三月七日放送 |
大の義太夫好きの大店の旦那。今夜もみんなに語って聞かせようと、長屋の連中を呼びにやるが、いたってひどい義太夫なので、みんなそれぞれ理由を付けて拒否反応を示す。 | |
36巻 PCCG-00698 |
●塩原多助~山口屋のゆすり~ ニッポン放送『演芸くらぶ』 昭和三十二年六月十九日放送 |
下野国飛駒村の八右衛門は、江戸神田佐久間町の山口屋まで、炭の掛け金八十両をうけとりにゆく。やっと江戸についたが地理がわからず、友達に出会ったうれしさで、用件を大声でしゃべってしまう。 |
●替り目 ニッポン放送『演芸玉手箱』 昭和三十四年一月六日放送 |
飲兵衛の亭主が今夜もベロベロになってもどってくる。もう少し飲みたいとかみさんにからむが、サカナがない。「まだ、おでん屋が起きてるはずだから、買って来い」と、叱りとばして買いにやる。 | |
☆抜け雀 ニッポン放送『お楽しみ演芸会』 昭和三十三年一月十二日放送 |
小田原の小さな宿屋へ泊まった客が、朝から晩まで飲み続け一文も払わない。主人が催促すると、宿賃のかわりに衝立に雀を五羽描いて、「絶対に売るな」と言って出発する。 | |
37巻 PCCG-00699 |
心中時雨傘(上)(下) ニッポン放送『お楽しみ演芸会志ん生八夜(七・八)』 昭和三十三年九月十九日、二十六日放送 |
日暮里の花見寺の前、どっこい屋をやっているお初が夜おそく仕事を終えて下谷稲荷町の家まで帰ろうとすると、三人の男にからまれ乱暴されそうになる。悲鳴をきいて駆けつけたのが形付職の金三郎で、三人を叩きのめす。ところがその一人が死んでしまう。 |
☆稽古屋 ニッポン放送『お楽しみ演芸会』 昭和三十五年四月十三日放送 |
男ならご婦人にモテたいと思う。そこで世話好きの人のところへゆき「なにか女の子のよろこびそうなことはないか」ときく。「横町の五目(芸事何でも)の女師匠がいるから、そこへいって習うといい」と教えられ、早速出かける。 | |
38巻 PCCG-00700 |
●塩原多助~道連れ小平~(上)(下) ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年五月十四日、二十一日放送 |
宝暦十二年(一七六二)の年の暮れ、下野(栃木県)の百姓八右衛門が、病気の父親にかわって、ひとりで江戸に出て、山口屋へ炭の売り掛け金八十両をとりに来る。小料理屋でバッタリ田舎の友達に出会えたうれしさから、ついそのことを話す。 |
☆不精床 NHK 昭和三十五年頃録音 |
髪結い床は町内の何処にもあり、情報交換所の役目をはたした。 不精が売り物のような床屋に、それに輪をかけたような客がやってきて、騒ぎが始まる。職人(床屋)と町人(客)のやりとりが面白い。 |
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39巻 PCCG-00701 |
●安中草三牢破り(上)(下) ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年九月十七日、二十四日放送 |
土浦藩土屋能登守の家臣で五十石扶持の恒川半三郎は、柳生流の達人である。岩田孫左衛門親子の危急を救ったことから、娘のりえと恋仲になる。同藩の重役久保田伝之助がこのりえに横恋慕して、ことごとに半三郎につらく当たる。 |
☆紀州 NHK『ラジオ芸能ホール』 昭和三十五年十月十二日放送 |
七代将軍の徳川家継が若くして病没し、いよいよ八代将軍を決める朝になる。将軍は御三家(尾州、紀州、水戸)の中から選ばれるが、候補は御三家筆頭の尾張家藩主の吉通(よしみち)と紀州藩の吉宗(よしむね)の競り合いとなり、関心を呼ぶ。 | |
40巻 PCCG-00702 |
江島屋騒動(上)(下) ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年十月十五日、二十二日放送 |
芝日蔭町の江島屋で買った粗悪品の花嫁衣裳のおかげで、お里が入水するまでが「上」、「下」はガラッとかわって怪談となる。お里を失った老婆の呪いのあたりに鬼気迫るものがある。 |
寄席のおはやし集 ニッポン放送 番組名不詳 昭和三十四年頃録音 |
出囃子にのって、演者が登場、高座の真ん中の座布団にすわって、頭を下げたときにお囃子が終わるのがコツ。頭を上げて客席を見て、「えー・・・」とはじまるわけだ。演者とおはやしさん(下座ともいう)のアウンの呼吸が、高座芸を生かす。 | |
41巻 PCCG-00703 |
御家安とその妹~前編~(上・下) ニッポン放送『演芸名人会』 昭和三十二年八月十二日、十九日放送 |
円朝作のこのはなしを円朝が高座にかけたという記録はなく、活字の上だけのいわば"幻の名作"といわれていたものを、志ん生があざやかに蘇らせてくれた。 徳川直参で十万石の大名東城左近太夫氏勝は、文武両道に秀で、家来を可愛がり、名君の誉が高かった。 所用があって大坂(むかしはこの字を書いた)へゆき、堺筋から日本橋まで来たとき、にわかに一陣の風が起こり、陣笠がとんで道頓堀へ落ちた。あわてふためく家来たちを尻目に、舟の中から手がのびて、これをひろってさし出したのは、年のころならハタチ前の江戸言葉の女。それも絶世の美女。名も告げずに去ってゆく。 |
42巻 PCCG-00704 |
御家安とその妹~後編~(上・下) ニッポン放送『演芸名人会』 昭和三十二年八月二十六日、九月二日放送 |
御家安と多見地郎の悪党二人は、もっとでかいことをと考える。元金が必要だというので、おかめに二度のつとめを納得させ、新宿の遊廓へ三年間百二十両で身を売らせる。 そのころ下谷御数寄屋町におかまという芸者がいた。女もいいし芸もいいが、玉にきずは金にケチなこと。旦那を幾人も手玉にとって八百両という金をためていた。 |
大津絵~江戸の四季~ ニッポン放送 番組名不詳 昭和三十四年頃録音 |
志ん生の"歌"は、まだごく若いころに下地が出来ている。落語家になる以前、御徒町あたりにいてよく稽古屋に通ってマスターした。志ん生になってからは、むろん余技の芸だけに『大津絵』も、いかにも志ん生らしく歌っている。 | |
43巻 PCCG-00705 |
●穴釣り三次 (上)(下) ニッポン放送『お楽しみ演芸会志ん生八夜(四・五)』 昭和三十三年八月二十六日、九月二日放送 |
下谷の三筋町の紙問屋甲州屋は、後家のおつねが切りまわしている。手代の粂之助が一人娘のおうめと通じたため、おつねはのれんの手前、一時ヒマを出す。やがては夫婦にしてやるという口約束をもらい、粂之助は谷中長安寺で住職をしている兄玄道の許に身を寄せる。 |
☆子別れ(下)~子は鎹~ ニッポン放送『お楽しみ演芸会』 昭和三十四年二月十九日放送 |
新たに女房に迎えた吉原の女郎とも別れ、改心をした熊さんは、一人になって三年後には親方だの棟梁だのと呼ばれるようになっていた。そんなある日、木口を見に、木場へ足を運ぶ熊さんが目にしたのは、三年前に別れた女房に付いて行った一人息子の金坊だった・・・・・・。 | |
44巻 PCCG-00706 |
名人長二(一)(二) ニッポン放送『演芸くらぶ』 昭和三十二年九月十六日、十月十日放送 |
本所のメ切(枕橋の近く)に住む指物師の長二は、二十八になるが独身。仕事は名人といわれ、竹を割ったような気性で、評判もいい。 蔵前の札差(米穀問屋。米穀を担保に金貸しなどもやった)の坂倉屋助七という金持ちが、長二に仏壇をたのむ。絶対にこわれず、しかも見た目は華奢というむずかしい注文だが、長二は作って持ってゆく。手間賃をきかれて百両という。 高いと腹をたてた坂倉屋が、「こわれないか」「ああ、こわれません」「こわれたらどうする」「手間は要りません。もし、こわれなかったら?」「千両出してやる」というやりとりのあげく、才槌(小型の木の槌)で力一ぱい叩くが、仏壇はビクともしない。"名人長二"の名は、改めて江戸中にとどろく。 |
45巻 PCCG-00707 |
名人長二(三)(四) ニッポン放送『演芸くらぶ』 昭和三十二年十月十七日、二十四日放送 |
菩提所である谷中の天竜院で両親の供養を営んだ長二は、お礼に経札を寺に納め、和尚に湯河原の宿できいた自分の出生の秘密を洩らす。そこへ浅草鳥越の亀甲屋幸兵衛が来合わせ、長二は紹介される。 やがて、幸兵衛は必要以上に長二に接近するようになり、無駄と思うようなものまで、あれこれ仕事を頼む。そして女房のお柳を連れて長二宅を訪れる。 問われるままに、仕方なしに、長二は身の上を告白すると、見る見るお柳の顔色がかわり卒倒する。この取り乱しぶりから、「この女が、生みの母親に違いない」と、長二は見抜く。 |
46巻 PCCG-00708 |
名人長二(五) ニッポン放送『演芸くらぶ』 昭和三十二年十月三十一日放送 |
長二を何とか救ってやろうという奉行の温情作戦が展開する。下谷稲荷町に住む茂二作、お春という老年夫婦ものを、くさいとにらんだ奉行は、その家の前に二人の役人を、古本屋と道具屋に化けさせて張り込ませる。 |
☆芝浜 ニッポン放送『演芸くらぶ志ん生五夜』 昭和三十七年十一月七日放送 |
昭和三十六年暮れ、脳出血で倒れてから、志ん生は一時死線を彷徨ったが奇跡的に回復し、翌年、見事に復活する。この『芝浜』はその再起第一声。大病を患った後の志ん生が、しみじみと自分の人生をかぶらせて、ほのぼのとした幕切れは実に気持ちいい。 | |
●ふたなり ニッポン放送『お楽しみ演芸会』 昭和三十四年七月一日放送 |
世話好きの亀右衛門のところへ、村の若い者二人が来て、金の工面を頼む。亀右衛門はとなり村まで、夜道を金借りに出かける。ところが鎮守の森で泣いている娘に出会い、訳をきいてみると番頭と出来てお腹が大きくなり、駆け落ちの途中はぐれたので、ここで首をくくるのだという。 | |
47巻 PCCG-00709 |
☆子別れ(中)(下) ニッポン放送『志ん生十八番』 昭和三十一年十月一日、八日放送 |
吉原で遊びにふけった熊さんは、三日ぶりに家に帰るが、女房の前で吉原での遊びの報告をしはじめる始末。結局、夫婦別れをすることになり、その代わりに熊さんは吉原の女郎を新しい女房に迎え入れる。最初の内は楽しい毎日を送るものの、結果として別れてしまうことになる。そこで初めて、前の女房のありがたさを知り、改心をする。 |
☆水屋の富 NHK 昭和三十年九月十八日放送 |
その日暮らしで裏長屋住まいの独り者の水屋が富くじに当たる。六畳間の畳を一枚あげて根太板をはがし、床の下に金包みを隠す。毎朝起きると長い竿でそれをつつき、カチンという音で金の安全を確かめる。仕事から帰ってもまたその繰り返し。 | |
48巻 PCCG-00710 |
☆猫の皿 NHK 昭和三十五年十二月一日放送 |
はじめは手中の珠のようにあつかっていた猫が、急に邪魔ものになるあたりの呼吸は、まさに志ん生の"芸"ある。"猫"にゆかりの落語はたくさんあり、怪談じみたものが多いが、これはただ猫が小道具に利用されただけの、さわやかな一席。 |
☆藁人形 NHK 昭和三十六年五月二十四日放送 |
千住は"江戸四宿"の一つで、仕置き場のあったところから、俗に"骨"といった。その界隈を鉦をたたいて、いくらかずつ貰って歩く西念という坊さんがいる。コツの女郎屋若松屋の板頭(売れっ妓筆頭)のお熊という女が、その西念をだまして四十両という大金をだましとる。 | |
☆権兵衛狸 NHK『ラジオ芸能ホール』 昭和三十五年十月十三日放送 |
権兵衛は田舎の一軒家でひとり暮らし。毎晩、ドンドンと戸を叩いて、「権兵衛、権兵衛」と呼ぶものがある。戸をあけるが誰もいない。ある晩、戸をあけると、いきなり一匹の古狸が飛び込んで来た。 |
収録時間は各巻とも60分以上を目処にしています。音源編集の都合により、演目が変更となる場合があります。ご了承下さい。