江差追分(5巻セット)民謡・邦楽

江差追分
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初代~四十代全国大会歴代優勝者 前唄・本唄・後唄完全収録 「江差追分競演集」

第一集(APP-4002)
1、第1回優勝者 近江 誠之(江差町)
2、第2回優勝者 小笠原 次郎(上ノ国町)
3、第3回優勝者 房田 勝芳(江差町)
4、第4回優勝者 松村 守治(江差町)
5、第5回優勝者 市戸 脩(函館市)
6、第6回優勝者 青坂 満(江差町)
7、第7回優勝者 杉野 忠勝(小樽市)
8、第8回優勝者 山本 ナツ子(砂川市)
第四集(APP-4005)
1、第25回優勝者 菊地 勲(江差町)
2、第26回優勝者 久保田 勝美(札幌市)
3、第27回優勝者 千葉 栄人(盛岡市)
4、第28回優勝者 三好 ゆかり(函館市)
5、第29回優勝者 木村 香澄(江差町)
6、第30回優勝者 松山 清一(森町)
7、第31回優勝者 道高 睦子(北檜山町)
8、第32回優勝者 嵯峨 幸男(秋田市)
第二集(APP-4003)
1、第17回優勝者 萩原 克彦(江差町)
2、第18回優勝者 沢口 一雄(厚沢部町)
3、第19回優勝者 国下 喜代子(江差町)
4、第20回優勝者 浜塚 良幸(厚沢部町)
5、第21回優勝者 佐々木 潔志(厚沢部町)
6、第22回優勝者 上林 捷二(札幌市)
7、第23回優勝者 木村 正二(江差町)
8、第24回優勝者 鈴木 タマリ(札幌市)
 
第五集(APP-4006)
1、第33回優勝者 王藤 正蔵(羽俊町)
2、第34回優勝者 卯子沢 裕美(留萌市)
3、第35回優勝者 細川 澄美枝(札幌市)
4、第36回優勝者 片桐 ルミ子(釧路市)
5、第37回優勝者 佐々木 真理子(札幌市)
6、第38回優勝者 辻 真由美(江差町)
7、第39回優勝者 剱地 陽子(函館市)
8、第40回優勝者 長江 亜津子(札幌市)
第三集(APP-4004)
1、第17回優勝者 萩原 克彦(江差町)
2、第18回優勝者 沢口 一雄(厚沢部町)
3、第19回優勝者 国下 喜代子(江差町)
4、第20回優勝者 浜塚 良幸(厚沢部町)
5、第21回優勝者 佐々木 潔志(厚沢部町)
6、第22回優勝者 上林 捷二(札幌市)
7、第23回優勝者 木村 正二(江差町)
8、第24回優勝者 鈴木 タマリ(札幌市)

APP-4007(5巻セット)
10,000円(税抜)


APP-4002~4006
各巻 2,500円(税抜)

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私の江差追分
------北の鎮魂歌。 「追分つうのは早い話、子守歌だべね」。そう教えてくれたのは江差で漁師をしているAさんだった。これほど優しい歌の世界がほかにあるべか、とこの潮焼けした海の男はいった。「母親が死んだら、ひと晩じゅう歌ってやるべと思ってる。おふくろはねんねんころりよ歌っておれを寝かせてくれたんだ。こんどはおれが追分で成仏させてやる番ではないかい」

私にも同じような思い出がある。寒さにふるえる田舎町の焼き場で母を送った夕暮れ、私くすんだ赤レンガのかまに対面した私は、いつのまにか追分を歌う自分を発見したのだった。

追分は不思議な歌だ。

人の生と死、歴史への鎮魂と同世代への励ましとが、絡みあい、こだましあっている。哀切きわまりないその旋律は、北の辺土をさすらう人間の怨嗟の絶唱と思わせながら、時になまめく官能が聴くものの心をなごませ、酔わせる。起源は信州小諸にあるという。北国街道を越後へ出て、そこから日本海沿いに北へ北へと流転した。歌の伝達者は、出稼ぎ漁民であり、富山の薬売りであり、男たちを追う遊女らの群像であったろう。心細さを胸に、敗残の思いと新天地へのひとすじの期待とを重く背負った人たちだった。そうした虐げられた者たちの涙が、追分に優しさと慰めに満ちた歌の生命を吹き込んだのである。それはまた現代に生きる江差追分のかけがえのない精神といえるだろう。凍るような冬の江差の海辺に立つと、耳を食い裂くような偏西風に乗って、過去から現代、未来へと時を超えた無数の歌声がきこえてくるような気がする。それは遠い日に恋人とどこかできいたようでもあり、母の記憶につながるようでもある。

白い牙むく波がしらに向かって、私はいつもそうつぶやく。
だれかれとなく手を振りたい気持ちにかられる。生を支える死。今日を今日ならしめる昨日。去来するその思いは自ずと江差追分につらなる。歌の不思議さを思わないわけにはいかない。

木内 宏